このブログは私が45歳の時、南山中高等学校(男子部)で中学2年生の英語を担当していたときに発行していた「日英バイリンガル通信」の復刻版です。第1号(1988年)から1992年の第36号(1992年)まで発行しました。生徒は高3まで持ち上がりました。学年が進級するにつれ、英語の語彙と文法のレベルが上がっています。教えた文法の制限内で中身のある英語を書くのには苦労しましたが、案外おもしろかったことを覚えています。各通信のイラストはブログ用に後からつけたものです。2010年3月19日記す。67歳 (残念ながら第7号が紛失したらしく見当たりません。教え子の誰か、まだ保管していたら教えてください。)

2010年5月1日土曜日

[20] 「ワンワン」か「バウワウ」か “ONE-ONE” OR “BOWWOW”





南山高等学校 1年 日英バイリンガル通信 NO. 20 December 10, 1990

     「ワンワン」か「バウワウ」か

 学校祭で桂枝雀の落語を聞きましたか。聞いてない? じゃあ、話してあげましょう。
 ご存知のように、犬は「ワンワン」と鳴きますが、アメリカでは「バウワウ」と鳴くそうですな。一体、どっちが正しいんでしょうね。「ワンワン」か「バウワウ」か。
 まず、「ワン」の[w]の音。これはキスをするときのように、唇を丸く突き出すんですな。犬はあんなでっかい口で、キスができますかな。スヌーピーならともかく、ほかの犬はキスなどできやしない。だから、[w]の音をきちんと出せるわけがない。
 次に、「ワン」の[n]の音。これもちゃんと出せない。これは舌の先を前口蓋にくっつけるんですな。犬はあんな長い舌でそんな芸当ができますかね。[n]の音を出すたんびに、パッと舌を3、4重に畳んで、長さを調節しなきゃならない。犬が舌を畳むって、考えられますか。うまく畳めたころにゃ、窒息死していますな。
 要するに、犬は正しい発音で「ワンワン」って、鳴けないんですな。「ワンワン」と鳴くものと思っていなさるなら、大間違い。だから「バウワウ」の方に軍配があがりますな。

     “ONE-ONE” OR “BOWWOW”

  Did you enjoy Shijaku’s comic story during the school festival? You missed it? Then let me tell you.
  As you know, a dog in Japan barks something like “one-one.” However, a dog in America barks “bowwow.” Which is correct, “one-one” or “bowwow”?
  First, let’s take up the [w] sound in “one.” When you pronounce it, you stick out your lips and make them round as when you kiss. Can a dog kiss with such a wide mouth? Snoopy can, but the other dogs cannot. Therefore, a dog cannot pronounce the [w] sound correctly.
  Next, a dog cannot make the [n] sound in “one,” either. When you pronounce it, you put the tip of your tongue on the front roof of your mouth. Can a dog do so with such a long tongue? Whenever it pronounces the [n] sound, it must quickly adjust the length of its tongue by folding it three or four times. Can you imagine a dog folding its tongue? It will choke to death by the time it succeeds in doing so.
  Conclusion: a dog cannot bark “one-one” correctly. If you think it barks “one-one,” you are wrong. Therefore, “bowwow” is nearer to the barking of a dog.

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